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塗るという文化
福岡ペイントArt お家を守るコラム~塗装のプロが、本当に伝えたいこと
~私たちは数千年続く技術を受け継いでいます~
ふと街を歩いていると、塗り替えられたばかりの家が目に入ります。
新しくなった外壁の色。 つややかに光る屋根。「きれいになったな」と感じながらも、その奥にある意味まで考えることは、あまりないかもしれません。
「塗装」と聞いて思い浮かぶのも、きっと同じです。
家をきれいにすること。 色を変えること。そんなイメージが、自然と浮かんでくるのではないでしょうか。
けれどもし、その「塗る」という行為が、ほんの数世紀の技術ではなく、何千年も前から人々の暮らしを支えてきたものだとしたら…
どう感じられますか。
実は「塗」という漢字は、「さんずい(水)」と「土」からできています。
もともとは「泥を塗る」という意味を持つ文字で、人々が土や泥を壁に塗り、住まいをつくってきた暮らしの知恵が、そのまま漢字になったと言われています。
日本人と「塗る」との付き合いも驚くほど古く、縄文時代の遺跡からは約9,000年前の漆塗りの製品が見つかっています。古の時代から、日本人は「塗る」ことで暮らしを豊かにし、大切なものを守ってきたようです。
日本の漆器は、その美しさと丈夫さから海外でも高く評価され、「Japan(ジャパン)」と呼ばれるほど親しまれてきました。それほどまでに、日本の塗る文化は世界に誇れる技術だったのです。
そして、「塗る」という行為には、昔から二つの大切な意味があります。
一つは「飾る」こと。
漆の美しい艶、漆喰の白い壁、人がお化粧をすることなど、塗ることで美しく彩り、人の心を豊かにしてきました。
もう一つは「守る」こと。
漆は木を水や腐朽から守り、漆喰は火災から蔵を守り、お歯黒は歯を虫歯から守るために使われていたと言われています。
つまり、「塗る」という技術は、見た目を美しくするだけではありません。
美しさと保護は、昔から切り離せない一つのものだったのです。
この考え方は、現代の塗装工事にもそのまま受け継がれています。
私たちが建物を塗装する目的も二つあります。
一つは「建物の美観を整え、住まいをより美しくする」こと。
そしてもう一つは、「雨や紫外線、風、暑さや寒さなどから建物を守り、お客様の大切な財産を長持ちさせること」です。
近年は塗料も大きく進化し、耐久性や遮熱性、防カビ・防藻性など、さまざまな機能を持つ塗料が開発されています。
しかし、どれほど塗料が進歩しても、「大切なものを守るために塗る」という本質は、約9,000年前から何一つ変わっていません。
私は、この仕事に携わるたびに思います。
私たちは、ただ塗料を塗っているのではありません。
数千年もの間、人から人へ受け継がれてきた「塗る」という文化の最前線に立っているのです。
だからこそ、一本のハケを持つ時も、一つのローラーを転がす時も、その長い歴史に思いを馳せながら、お客様の大切な住まいと向き合いたいと思っています。
塗装は、ただ色を塗る仕事ではないと思っています。
それは、時を重ねて受け継がれてきた「守る知恵」を、未来へ手渡す仕事です。
一刷毛ごとに、歴史をつなぐ。 一棟ごとに、想いを残す。
私たちは、塗る文化のバトンを握る者です。
だからこそ、今日も塗る。 明日へつなぐために。![]()
監修者:(株)福岡ペイントArt
代表取締役 山添正信

